キャリアプランの組み立てかた:要素の組み合せがカギ

転職について考えるときに、自分自身の強みを活かしたいとか、自分自身にとってプラスになるキャリアを選びたい、と考える人も多いだろう。でも、自分のキャリアについて、具体的に何を考えて準備したらいいだろうか?

進路相談をたまに受けることがあり、個人のキャリア形成のプランニングは、会社のビジネス展開のプランニングにかなり似ていると思う。

今回は、積み上げ方式のキャリアプランニングの方法について、私自身の会計士から国際協力へとかなりマイナーなルートをフラフラしながら彷徨ってきたキャリア(笑)を例に紹介してみる。

積み上げ方式のキャリアプランニング

キャリア設計の1つのアプローチに、自分が将来どこを目指したいのか?といったビジョンから逆算して考えるバックキャスティングのアプローチというものがある。これは将来像がある程度見えていれば逆算で考えることができる。とはいえ、バックキャストで考えようとするときの最大の問題は、自身の将来イメージについて明確に答えられる人がほとんどいない点だ。そんな場合、バックキャスティングでキャリアを考えるのは難しい。

一方、バックキャスティングと異なり、誰もが使えるキャリアプランニングとして、今の自分自身を出発点としてどんなキャリアを積んでいくか?を考えるというアプローチがある。こちらは、自分自身のスキルや強みの把握と、次にどんなスキルや強みを獲得するか?の分析が中心となる。

キーワードは、複数の要素の組み合わせ

前提条件として、可能な限りユニークな存在として、他の人と差別化ができるようなキャリアを目指したい、と考えている人が対象となる。とはいえ、自分自身のスキルや強みなんて欲しくないし、いつでも他の人と交換可能な存在になりたい、という人はほとんどいないんじゃないかな(笑)

前回の新規事業の記事でも紹介しているように、複数の要素を併せ持つ人は強い。異なる要素が3つ以上組み合わさっていれば、容易には代替可能な人は見つからなくなるだろう。今回のキャリアプランニングのアプローチも、こういったベン図の組み合わせのイメージだ。

自分自身を構成する要素

まずは仕事に関連して自分自身を構成する「要素」を書き出してみよう。要素には、業種、職種、活動、地域といった異なるカテゴリーをまずは書き出してみる感じでよい。あまり深く考えず、とりあえず要素っぽいものを書き出してみる感じで。これまでに自分が経験してきた仕事を時系列順に書き出してみるとやりやすいかもしれない。

例えば、私自身について時系列に書き出してみるとこんな感じになる。

このように書き出した時系列をグループに分類してみる。今回の例で言えば、業種、職種、活動、地域といったカテゴリーに分類できる。

オーバーラッピングがとても大事!

こんな記事を書いているものの、私自身は自分のキャリア設計に無関心(無頓着?)なので、かなり適当に気がむくままに歩んできた(笑)そんな中、一番キャリアで苦戦した時期は、自分が持つ「要素」がまったく組み合わさることなくバラバラだった時代だ。

分断期

20代後半の要素図

20代後半は各要素が分断されて全くオーバーラップしていない状態(笑)職業会計士をしてきたという現実と、今後、国際協力で生きていきたいという希望の進路が乖離している状態。。。この状態だと全く自分自身の強みなんてモノが活かせない。なんとかして2つのだいぶ離れた要素を組み合わせようと模索していた。

結合期

バラバラだった要素をつなぎ合わせるきっかけは、「新要素の追加」だ。この時の新要素はそれぞれ赤と紫の輪で表示されている開発途上国での仕事の経験(2年間でアフリカ中心に10カ国くらい)と、海外ビジネスをテーマとする新規事業の立ち上げの経験(2年間でアジア中心に10カ国くらい)が、分断されていた自分の要素をつなぎ合わせる接点となった。ざっくり言えば、「開発途上国でビジネス支援」が私の強みであったが、正直、まだまだこれでは競合は多い。

30代前半の要素図

新要素 x 深化

これまでにみてきた新要素の追加は、異なるジャンルを組み合わせて価値を見出していく、といアプローチだ。その一方で、特定の要素の中で細分化、専門化していくキャリアもある。

深化

専門分野の中で誰よりも詳しくなろう、というのは要素の中の深化だ。一つの要素を極めて専門性を上げていくのもキャリアの選択肢ではあるが、これまで専門職と言われてありがたがってもらえた仕事がどんどんAIに置き換わる未来予想があるなか、特定の分野のみにキャリアを特化するのはリスクなんじゃないかな。それよりも、より多くの分野の組み合わせのところで力を発揮できるような選択の方がよさそうな気がする。

要素の追加と深化

30代半ば頃に思い描いていたのは、新要素:特定の業種の追加と、深化:これまでのざっくりとした開発途上国全般とかではなく特定の国に強い人材になろう、というキャリアプランニングだった。ただ自分自身で業種や国を選んだわけではなく、たまたま巡り合ったクライアントとの縁から、農業・食品という業種を新しい要素に加えつつ、カンボジアとバングラデシュの2カ国に深化(絞り込み)が進んでいった。

30代後半の要素図

コアとなる強み

改めて見返してみると、どの要素にも共通する自分自身のコアとなる強みは「調査分析」なのだと思う。確かに、いろんな関係者(中央政府、地方政府、地方の住民・消費者など)にヒアリングして、文献を調べて、現状を把握して、そこにどんなアプローチがよいのかを考えて提案していく、というのが好きだな、と改めて気づく。

こんな感じでコアとなる強みが見えてきたら、次に獲得する新要素においても、そのコアとなる強みが活かせるか?を考えながらいくと、冒頭で紹介したみたいな完全な分離状態(笑)にはならないのだと思う。

あまり考えすぎずに

計画性は大事、とみんながいうけど、計画ばかりしていて一歩も踏み出せないのはもったいない。それに計画しているだけなら、何も実行していないのと同じだ。

キャリアプランニングも、せっかくなら完璧な計画作りを目指すのではなく、まずは不完全でも一歩を踏み出すことが肝心なのだと思う。

自分自身を振り返ってみると、新しい要素を増やすという計画性はあったけど、具体的にどの要素を加えるか?については、その時々の自分自身の心がやりたいと思った方向であったり、クライアントとの縁の中で見えてきた感じもする。そういった意味では、キャリアプランニングも大事だけど、自分自身の感性も大事にして、進みたい方向に飛び込んでいくのがいいのかな、と思う(笑)

<関連記事>

最新情報をチェックしよう!